瞑想とは何?健康やパフォーマンス向上に効果ある?
瞑想の定義とは?
瞑想の起源と歴史
瞑想は数千年の歴史があり、多くは東洋の伝統から始まっています。分類としては、仏教に基づく「ヴィパッサナー瞑想」や「サマタ瞑想」があります。有名な「マインドフルネス瞑想」はアメリカのジョン・カバット・ジンが1979年に宗教色を除いてマインドフルネスストレス低減法(MBSR)として始めたことがきっかけとなっています。
瞑想の基本的な要素
瞑想
目を閉じて、雑念・妄念を退けて深く考えること。黙想。
『新明解国語辞典』
瞑想はこれといった定義がありません。新明解では上記のように「目を閉じて、雑念・妄念を退けて深く考えること。」とあります。
多くはこちらに含まれると思いますが、瞑想の種類によっては「目を開ける」こともありますし、「雑念を退けない」瞑想も存在します。
そのため、どの瞑想にも当てはまる定義ができないのです。
しかし、多くの瞑想の共通点としては以下の点が挙げられます。
- 集中する
- 姿勢を正す
- 観察する
- 呼吸に意識を向ける
- 音に意識を向ける
- 言葉に意識を向ける
瞑想の効果とは?
科学と手を組んだことにより、瞑想の客観的なデータが得られるようになりました。以下に瞑想がもたらす効果を示します。(参照:厚生労働省「瞑想とマインドフルネスについて知っておくべき8つのこと」、他論文)
瞑想がもたらす心身の健康への影響
- 不眠症改善
不眠を減らし睡眠の質が向上する可能性があります。 - 不安や抑うつに有用
認知行動療法に基づく治療と同程度に役立つ可能性があります。 - 3ヶ月以上つづく痛みに効く
慢性疼痛に対する疾患の管理に役立つ研究成果があります。
瞑想がパフォーマンス向上に与える効果
- 集中力の増加※1
10分間の瞑想で注意力の増加や終了時間の短縮効果が見られました。 - 創造性の解放
これまでの習慣にとらわれない発想が瞑想によって引き起こされる可能性があります。 - 自己認識や感情調節に影響
瞑想が自己認識や感情調節の脳領域にアプローチできることが示唆されています。
瞑想の実践方法と注意点
初心者におすすめの瞑想
初心者におすすめの瞑想はシンプルな「マインドフルネス瞑想」です。その中でも「ボディスキャン瞑想」や「呼吸瞑想」と言われる瞑想を筆者がアレンジして初心者向けにご紹介します!
マインドフルネス瞑想3ステップ
1 椅子に深く腰掛ける
2 目を閉じて呼吸に集中する
3 雑念が浮かんだら気づいて呼吸に戻る
1 椅子に深く腰掛ける
背もたれのある椅子に腰が当たるよう深く腰掛けましょう。背中や足が直角になるよう姿勢よく座ってください。
背もたれのある椅子がない場合は床にクッションなどをひき、あぐらをかいて座りましょう。背筋をピーンと伸ばし姿勢を良くすることが大切です。
2 目を閉じて呼吸に集中する
目を閉じて呼吸に意識を向けましょう。鼻から吸って口から吐きます。
吸う時は、空気の流れや肺の膨らみを感じてください。
「鼻から冷たい空気が入って、肺が膨らんだな」
「息を吸うと血の流れが良くなっているな」
吐く時は、お腹の動きや口から出ていく空気を感じてください。
「吐くときは肩の力が抜けていくな」
「頭がぼーっとしてリラックスできるな」
時間は5分程度を目安にしましょう。初めは2〜3分でも構いません。慣れてきたら10分、20分と増やしてみましょう。
3 雑念が浮かんだら気づいて呼吸に戻る
呼吸に集中していたら雑念が浮かんでくると思います。
「明日のプロジェクトどうしよう…」
「なんかお腹すいたなー」
「こんなことして何になるんだ…」
このような呼吸以外のことを考えていたら、それに気づいて呼吸に戻りましょう。
「関係ないことを考えていた。呼吸に戻ろう」
気づいて繰り返すことで、力がついてきます。
瞑想の効果を最大限に引き出すためのポイント
瞑想において大切なポイントは集中することです。ここでは瞑想における集中状態を作り出すコツをお伝えします。
ポイント1:環境を整える
心地よい環境を準備しましょう。瞑想前に温度や周囲の状況を確認しておきましょう。
自分が心地良いと思えたら瞑想を始めます。
一人で落ち着ける場所ですか?誰かに声をかけられそう、周りが騒がしい。そんな状況なら場所を変えましょう。
極端に暑かったり寒かったりしませんか?衣服を着たりエアコンをつけたりして、心地良い温度に調整しましょう。
さらに環境を整えるなら「ヒーリングミュージックを聴きながら瞑想」「アロマを焚きながら瞑想」「薄暗い環境で瞑想」などがおすすめです。
ポイント2:自我と向き合う
瞑想の最大の敵は自分です。呼吸に意識を向けても、雑念がどんどん湧いてきます。
この時の湧き上がる雑念である自我に向き合いましょう。
自分の感情や思いを観察することが集中のポイントです。
「(瞑想中に)明日の仕事嫌だなあ…」←仕事が嫌だと思う自分に気づく。
「仕事が嫌だと思っているんだ。呼吸に戻らないと!」←呼吸に戻せた自分に気づく。
「すーっ、はー…。よしよし、呼吸に戻れたぞ!」←呼吸に戻り、満足した自分に気づく。
大切なのは「気づくこと」です。関係ないことを考えていた自分を責める必要はありません。
「関係ないことを考えていた。呼吸に戻ろう。」
シンプルにこれだけです。善悪の判断をせず雑念が浮かんだことに気づいて戻りましょう。
ポイント3:受け入れる
瞑想は一朝一夕には身につかないことが多いです。マインドフルネスのプログラムは8週間かかります。
瞑想がうまくいかなくても自分を責めることはありません。うまくいかない自分を受け入れましょう。
雑念がたくさん浮かんできます。浮かんでくる自分を受け入れましょう。
あなたが思う「良いこと」も「悪いこと」も受け入れることがポイントです。
瞑想を取り入れた成功者の事例
瞑想で有名なビジネスパーソン
スティーブ・ジョブズ
Appleの創業者スティーブ・ジョブズは大学中退後、インドに旅立ち禅修行に出会い魅了されたそうです。こちらの記事によると瞑想によって「創造性」と「共感力」を身につけたそうです。
固定概念にとらわれない革新的なデバイスや顧客の望む商品を提供できた洞察力は瞑想による影響もあったのかもしれません。
稲盛和夫
京セラの社長でJALの再建に一役買った日本経済を担った一人である稲盛和夫さん。彼も瞑想を取り入れているビジネスパーソンです。
著書『生き方』の中で稲盛さんは「六波羅蜜」を忘れずに精進を積むことが大切とおっしゃっています。「六波羅蜜」とは悟りを得るための修行で布施、持戒、精進、忍辱、禅定、智慧のことです。
この「禅定」は揺れる心を落ち着かせ、自分と向き合うこと。すなわち瞑想であるのです。
瞑想を取り入れたスポーツ選手
イチロー
イチローさんのチームメンバーだったデレク・ジーターさんの言葉を紹介します。
「イチ(イチロー)はプロ意識がとても高い。特に試合に臨む前、クラブハウスで気持ちを高ぶらせていく姿は絶対に誰もマネができないだろう。彼は他の誰よりも球場に早くやってきて、器具を使いながらのストレッチなどで入念に体の手入れを行う。それが終わると自分のロッカーの前に腰を掛けながら20~30分間、目をつぶって瞑想(めいそう)にふけるんだ。
そうしたルーチンワークが終わると、イチには完全にスイッチが入る。そこからは試合が終わるまで、もう誰も彼の中に入り込むことはできない。鬼のような形相となり、そこにはまるで『NO ENTER(入るな)』というメッセージが書き込まれているようなんだ。
「2年半の摩天楼生活で、イチローがヤンキースの面々に見せた“流儀”」ITmediaビジネス
ジョコビッチ
「かつての私は、フェデラーやアンディ・マレーとは決して同格ではないことをよくわかっていた。今でも、サーブを失敗したりバックハンドをしくじったときに、自己疑念にかられることはあるが、一方で対処法もわかっている。ネガティブな考えが浮かぶことをそのまま認めて、そのままやり過ごし、今の瞬間に集中するのだ。
あのマインドフルネスが、痛みや負の感情と向き合うのにとても役立っている。このおかげで私は本当に大切なものに集中できている。そして脳内でそんなネガティブな声の音量を下げることができている。」
『ジョコビッチの生まれ変わる食事』
瞑想の未来とその可能性
瞑想の科学的な研究とその成果
瞑想の科学的な研究は、近年急速に進展しており、その成果は心身の健康に対する様々な有益な影響を明らかにしています。脳の神経に関する研究では、瞑想が脳の構造と機能に変化をもたらし、注意力や認知機能を向上させることが示されています。
メンタルヘルスにおいても、瞑想は注目を浴びています。うつ病や不安症状の軽減に寄与することが確認され、ストレス管理や感情調整に有益であることが示唆されています。瞑想は認知行動療法や他の心理療法と組み合わせて使用され、様々な心理的健康の課題に対処するための補完的な手段となっています。
これらの研究結果は、瞑想が生活の質を向上させ、心身のバランスを取る手段として広く受け入れられています。今後の研究が、瞑想のメカニズムや最適な実践法の特定に向けて進展することが期待され、科学的な根拠に基づく瞑想の健康効果がますます重要視されています。
瞑想が社会に与えるポジティブな影響と将来の展望
瞑想が科学的に不眠症改善や集中力増加に効果があることがわかり、著名人も瞑想を実践していることがわかりました。
研究が進み今後ますます瞑想の素晴らしさが明らかになってくると思われます。
それでは、瞑想が社会に与える影響について考えていきましょう。
『瞑想の生理学』という本に「1%効果」というのが紹介されているそうです。
「1%効果」とは瞑想実践者がその地域の人口1%を超えると地域全体の生活の質が改善することです。
アメリカで瞑想実践者が1%を超える都市と、ほとんどいない都市を比較した際に瞑想実践者が1%を超える都市では犯罪増加率が低かったというデータがあります。瞑想実践者1%超えの都市では犯罪増加率の平均-8.9%と犯罪率減少が見られたのに対し、ほとんどいなかった都市では平均7.7%と犯罪は増加傾向にありました。
さらに瞑想熟練者が集まると必要な人数が減少します。それは1%から1%の平方根への変化です。すなわち、1億の人口を変化させる1%は100万人になりますが1%の平方根なら1000人でいいのです。
日本を変えるのにたった1000人が集まればいいなんて夢がありませんか?
あなたの都市人口では何人必要ですか?瞑想熟練者でなくても、1%集めるだけで効果があるのです。今すぐにでも瞑想を始めて、意識エネルギーを変えていきましょう。
瞑想を続けるほどに、あなたの力は増していきます。心地よさや繋がる感覚がつかめてきます。そうして熟練者となった時、あなたの瞑想は社会により大きな影響を与え始めるのです。
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