【書評】『今日、誰のために生きる?』アマゾン、楽天、tsutayaなど発売日から売り切れ続出した話題本をレビューしてみた
この本を読んだきっかけ
こんにちは、心理カウンセラーの松浦です。皆さんは運命の出会いを信じますか?この本は私にとってまさに運命的出会いをした本でした。
この本を知るきっかけはカウンセラー仲間からとある動画を紹介されたことに始まります。その動画では日本人が知るべきアフリカの村の教えが語られていました。そこに登場していたゲストがこの本の作者であるひすいこたろうさんとSHOGENさんだったんですね。
よくよく調べてみるとひすいこたろうさんは私がカウンセラー資格をとった協会の先輩。SHOGENさんはアーティスト。私も絵を描く身としてすごく共感を持ちました。
紹介された動画の中ではアフリカの村長の祖父がシャーマンで、縄文時代の日本とつながっていたと語られます。イヤイヤ、そんなわけないじゃないか、と思う方もいるでしょうがスピリチュアルを勉強していた私は抵抗なく受け入れることができたんですね。
そんなわけでアフリカはタンザニアの不思議な村で過ごしたSHOGENさんの体験をまとめた本が『今日、誰のために生きる?』になります。
たまたま紹介された動画の中にカウンセラー協会の先輩と表現を愛するアーティストがいて、その二人が本を出す。私にとって共通項が偶然重なり運命的な出会いを感じたためこの本を手に取ってみようと思ったのでした。
『今日、誰のために生きる?』とは
『今日、誰のために生きる?』作品情報
タイトル | 『今日、誰のために生きる?』 |
出版社 | 廣済堂出版 |
発行年 | 2023年11月 |
ジャンル | 哲学・思想・スピリチュアル |
著者 | ひすいこたろう・SHOGEN |
発行部数 | 17万5000部(2023年11月8日時点) |
『今日、誰のために生きる?』は発売日がサイトによってさまざまでした。
廣済堂10月18日
アマゾン10月21日
ひすいこたろうHP10月21日
楽天10月23日
ちなみに表の発行年は私が入手した書籍を元にしております。
『今日、誰のために生きる?』著者情報
『今日、誰のために生きる?』著者SHOGEN(ショーゲン)について
著者の一人であるSHOGEN(ショーゲン)さんはティンガティンガというアフリカンアートに魅了され現地タンザニアで修行したペンキ画家アーティストです。生活の場ブンジュ村で村長や村人との交流を通して学んだ「生き方の本質」や「日本人の素晴らしさ」を伝えるためにトークショーなども行っています。
『今日、誰のために生きる?』著者ひすいこたろうについて
もう一人の著者ひすいこたろうさんはこれまでに80冊以上の本を出している売れっ子作家です。『3秒でハッピーになる名言セラピー』はMESSAGE BOOK大賞で特別賞を受賞しています。衛藤信之氏から心理学を学び心理カウンセラーの資格を取得しています。
『今日、誰のために生きる?』背景の紹介
ここからはどのようにしてペンキ画家のショーゲンさんと作家のひすいこたろうさんが出会い、書籍化に至ったのかについてご紹介します。
本が発売された背景の紹介
アフリカはタンザニアのブンジュ村から帰国したショーゲンさんは村長からの願いもあり、ブンジュ村での教えを人々に伝える活動をしていました。
一人でもいいから伝える。その想いのもとショーゲンさんは新幹線の中、バスの中、温泉の中、漫画喫茶の中と、とにかく人に伝えることをされていました。月末にどれだけ人に伝えられていたかブンジュ村に報告もしていたそうです。
そうして伝えていく中で9302回目に出会ったのがベストセラー作家のひすいこたろうさんでした。ひすいさんは顔出ししていませんから、ショーゲンさんが知っていて声をかけたわけではありません。
ひすいさんは湯河原の温泉で浸かっている時に見知らぬ男性から声をかけられました。
「ブンジュ村で教えてもらったことが、あまりにすごくて、1人でも多くの日本人に伝えたいと思って、今こうして伝えているんです。ちょっと聞いていただいていいですか?」
『今日、誰のために生きる?』
めちゃくちゃ怪しいですよね!ひすいさんも「え?ここで?」と当惑されたようです。しかし、その話を聞いているうちに釘付けになり僕らが失いつつある、「幸せを感じる心」を取り戻せると確信されたようです。
今すぐ温泉を出てYouTubeで全ての日本人に聞いてもらいたいと収録し、YouTubeをみた編集者の方が「この奇跡の物語を本にしたい!」と言って書籍化に至ったのです。
これをきっかけに他のYouTuberとコラボしたり書籍が17万部以上売れたりショーゲンさん自身のチャンネルも10万人を突破したりなど影響力がぐんぐん出てきています。
ひすいこたろうさんは「幸せの翻訳家」という肩書きで活動されることもあり、人々に元気を与える存在です。そんな方がショーゲンさんの話やブンジュ村の村長の「日本人の血の中に流れる素晴らしい記憶を呼び起こしてほしい」という願いに胸を打たれ、筆を取ったのが本作『今日、誰のために生きる?』です。
日本人に対する考え方や幸せな生き方について多くの気づきを与え、人生を変えるインパクトがある心温まるストーリーが『今日、誰のために生きる?』には描かれています。
『今日、誰のために生きる?』あらすじ
本書は二部構成となっています。パート1ではショーゲンさんのブンジュ村でのエピソードが30個語られています。パート2はひすいこたろうさんの6つのワーク。ブンジュ村での学びを私たちの日常生活に落とし込めるような構成になっています。
アフリカの不思議な話で終わらせない、あなた自身の物語として紡いでいける仕掛けがニクいです。
『今日、誰のために生きる?』テーマ性とメッセージ
タイトル『今日、誰のために生きる?』について
本書のテーマについて深めていきましょう。私が気になったのはこの本のタイトル『今日、誰のために生きる?』です。
作中で語られていますが、これはブンジュ村の挨拶なんですね。朝に人とすれ違ったら「今日、誰のために生きる?」と聞くのがブンジュ村の習慣。
正直ちょっと重い…。そんなふうに私は思いました。しかし、読み進めていくうちにブンジュ村の人たちは目の前の人に全力で向かい合っていることがわかりました。
私たちが挨拶をするとき、対象者に全力で向かい合えているでしょうか?なんとなく言わないといけないから、曖昧な空間に向けて「おはようございます」「お疲れ様です」と発していませんか?
ブンジュ村の人たちは相手の状態を見て声をかけています。
「今日も裸足で土を踏み締めよう」
「太陽に照らされた野菜たちが嬉しそうだね」
「この晴れ渡る感じが、今日も俺たちの中にあったらいいね」
型通りではないんですね。ちなみに「今日誰のために生きる?」の答えは「自分のために生きる」。自分を大切にして、心の余裕があって初めて他者と繋がれるのです。
ブンジュ村の人は「空を見上げる心の余裕」を大切にしています。村に来たばかりで一旗あげてやろう!と意気込んでいたショーゲンさんは「空を見上げている?」「自分の人生を生きている?」と挨拶されていたそうです。
それだけ余裕がないように見えたのでしょう。そしてこの日本において空を見上げる余裕がある人はどれくらいいるでしょうか?
心の余裕を大切にして自分のために生きる。そんなテーマがこの本には込められているように思いました。
『今日、誰のために生きる?』長所と短所
ここでは本作の長所と短所について解説していきます。
ブンジュ村の不思議な体験
本書の1番の見どころは奇妙な縁です。時間的にも距離的にも離れている現代アフリカのブンジュ村と縄文時代の日本が繋がっていたという不思議。
ショーゲンさんが体験したブンジュ村での心温まるエピソード。この元になった村の教えはシャーマンだった村長の祖父が縄文時代の日本人と夢の中で交信し、教わっていたというのです。
「今日、誰のために生きる?」という挨拶や空を見上げる余裕は元々日本人が当たり前にしていた習慣だったというから驚きです。
ショーゲンさんのエピソードを聞いて「不思議なこともあるんだな」「心温まるいい話を聞けたな」そんなふうにほっこりする読者もいるでしょう。
日常生活に落とし込むワークや客観的なデータ
この本の素晴らしいところはそれで終わらせない点です。後半のひすいこたろうさんのパートでブンジュ村の教えを私たちの生活に落とし込むワークがあります。
このワークを実践することであなたは物語のステージに上がることができるのです。ブンジュ村の教えを引き継ぐ一人として活躍することができる仕掛けがとても良いなと感じました。
ひすいさんのパートではショーゲンさんのパートを客観的なデータを用いて証明する部分があります。個人的にはこの説明が物足りなく感じました。
アフリカのシャーマンが縄文時代の日本人と繋がっていたなんてなかなか信じられません。でも、それを信じさせるようなデータが多いとブンジュ村の教えに深みが出たり、日本の素晴らしさが伝わったりするんじゃないかなと思いました。
この部分は読みやすさとの兼ね合いもあります。データを多くするほど難解で読みにくい文章になるため作家ならではの感覚があるのだろうと思います。おかげさまで読みやすさとしてはピカイチの本だと思います。
個人的な意見と感想
個人的にはこの本は大満足でした。人生の本質が語られていると思うので定期的に読み返したくなる本です。
日本人の凄さを初めて知りました。縄文時代は歴史の授業でちらっと勉強したくらいです。しかし、縄文時代が1万年以上続いており、人間同士での争いが見られなかったとされる平和な時代であることがわかりました。
そんな愛に満ちた時代を生き抜いた先祖がいることに誇らしさを感じます。私たちは自分自身を愛せているでしょうか。
虚無の空間に「おはようございます」と挨拶して、明日の予定や今日やらなければいけないことを考えながら作業としてご飯を食べていないでしょうか。
ブンジュ村から教わった「空を見上げる余裕」を思い出す時が来たのだと思います。「今日、誰のために生きる?」と聞かれて「自分のために生きる」と胸を張って言えるよう自分を愛してあげたいなと思いました。
どんな人におすすめか?『今日、誰のために生きる?』を読むべき人
全日本人におすすめです。
とはいえ特に私が響いたパートを考えると読んでほしいのは以下の2種類の人。
・忙しい人
・絵を描く人やフリーランスの人
忙しい人
「忙」という漢字は「心を失う」と書きます。空を見上げるような余裕がない人はぜひこの本を読んでみてください。心に余裕を取り戻す方法がたくさん載っています。
いっぱいいっぱいな人も少し立ち止まって自分の心に問いかけてみてください。「誰のために生きている?」忙しい人もホッとできる安心がこの本にはあります。
絵を描く人やフリーランスの人
ペンキ画家のショーゲンさんが帰国後に仕事をとれた秘訣が載っています。これは絵を仕事にしたい人やフリーランスとして活躍していきたい人に見ていただきたいです!
アジア1位のペンキ会社とどうやって仕事の契約を結ぶことができたのか?ブンジュ村のシンプルな教えが紹介されています。
結論
おすすめ度⭐️4.5
抜群に読みやすく、心温まる本質的なエピソードがたくさんあるお話でした。読みやすいぶん、後半の現実的なパートで物足りなさも感じました。それを入れてもどんな人にもおすすめできる良い本です。
おまけ「芝生でゴロゴロしてた中学時代」
中学生の頃近所の公園の芝生で寝転がるのが好きでした。高校生になったらもうこの青空を眺める余裕なんてなくなるだろうなと思っていた私にとって「空を見上げている?」というセリフが一番刺さりました。
もしかしたら自分で余裕をなくしていたのかも知れないなって思います。時間をとって自然と触れ合い、虫の声に耳を傾け、空を見上げてみたいと思いました。
自分のために生きるために、「今日、誰のために生きる?」と自分自身に問うてみようと思います。心に余裕を持って過ごせるように。